高校三年生十八歳、椎名寿はひょんな事から(まあ話すと長くなるんだけど多分原因はポンジュースだと思うんだ)全く言語の通じない異世界へ「召喚」された。トイレと共に異世界へ不時着した彼女は、戦乱の真っ只中に裸同然で放り込まれる。(実際パジャマだったんですけど、かなり恥ずかしいよね)

 其処は戦時中のミドガルズより南部に位置した国境線の傍での戦争。
 寿の言語は全くと言って良い程通じなかった。何でも、古代ハーグルーブ語と言うらしい。
 途方に暮れる寿に、イツキという軍人と、プリムラという「魔法使い」が助け舟を出した。





私は、ぜったいに終わりまで、戦う







 魔法使い、ウィザード、魔法、魔物、呪術、「能力者」。様々な蛮族が入り乱れるその世界の名は、寿が耳にした事も無い名であった。けれど違いないのは、其処は、この世界は、寿の「未来」だった。寿は信じられなくて、それでも信じるしか道は無く、受け入れる。世界の全てを受け入れた時、召喚された少女は真実を知る。





「……イシュヌヴェルグ?」







 椎名寿の紫色の両眼。
 それは墜落した、四次元空間の天使に酷似していた。
 天使は言っていた。「私は再臨する」と仄めかしていた。だが天使を受け入れる体制は誰も出来てはいなかった。天使は嘆いた。

 寿は巫女と呼ばれた。寿には不思議な力があった。死者が見えたのだ。死人が、魂が、思念が読み取れたのだ。寿に掛かる期待は大きなものがあった。そして「召喚」された筈の少女は段々と異世界へ根を下ろす。求められている。此処では求められているのだ。私はこの世界でこの能力を以って求められている。だから、私は居ていいのだ。そんな希望が寿の脳裏を掠める。そして天使は嘆いた。「この子は違う」と拝命証を引き裂きながら嘆いたのだ。





「全部私が持っていってあげる。苦しみも辛みも全部ひっくるめて、私が背負って飛んであげる」



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